2018年11月3日土曜日

BOOKS OF DOOM

「BOOKS OF DOOM」とは紙で出来た魔物『本』に取り憑かれた人間による、書評というより、デジタルで何でも読めるからこそ実際に手にとって欲しいやん!と強く思った本(文芸、漫画、アート本から雑誌、ムック、ZINEまで)を闇雲に紹介する所謂"単なるオススメ本のコーナー"です。

(2)今回VHS BOYA®が紹介する本は3冊!
☆天久聖一「サヨナラコウシエン」
☆「ジョン・カーペンター読本」
☆松原タニシ「恐い間取り」


天久聖一「サヨナラコウシエン」(¥1,400/リイド社)



この本を40絡みのサブカル残党が絶賛の画って簡単に想像がつくし、そもそも天久さんは電気周辺のサブカル日本代表なわけで17年ぶりの連載作品の単行本化などと言われたら拝読しないという選択肢はないにせよ、ここで取り上げなくてもいいんじゃない?という意見には本当その通りなんだけど、でもやるんだよ!な涙腺ダム大崩壊漫画。
もともとリイドカフェという無料漫画サイト上の連載で、その時から楽しみにしてたんだけど、スマホで見るより紙になって一コマ一コマが大きくなると良さが増すわな。大きいことはいいことだ、何事も。
「おじいちゃんとサヨナラするため、五歳のふじおは甲子園を目指す。ギャグとメルヘンとほんの少しの涙で描かれた、これは別れの物語。」という内容紹介と「天久さんに笑わされ、ふじおに泣かされました」という宮藤官九郎氏による帯コメントが秀逸かつ全てを物語っていてもう言うことないぐらいなんだけど、エモさと笑いって裏返しなんですよ!ってことですよ。笑いすぎると人って涙出るじゃないですか。身体の構造上、そうなってるって絶対意味があると思うんですよ。笑いの偉い人たちも「悲しいが振り切れると人間は笑ってしまう」と言っているけど、笑って笑って笑うからラストおもくそ泣けるんだよなー。電車内で最終話を読んでて思わず涙が零れそうになってスマホを閉じて景色を見てるふりをしたぐらい。泣ける押しになっちゃったけど、ご存知の通りギャグセンは日本一の人なんで文句なしに安心して笑えます。
本気で2018年を代表する漫画。子供も読めるよ。



「ジョン・カーペンター読本」(¥1,296/boid)
こないだ大好きな映画『ゼイリブ』の製作30周年記念HDリマスター版を新宿シネマカリテで劇場で堪能して来たばっかりの最高のタイミングでのこの本。表紙に出てるライター陣がどれだけ豪華かは秘宝系の映画マニアはニヤついちゃうレベルなワケですけど、同人誌感溢れる装丁含め内容も間違いなし!いきなりの黒沢清による『遊星からの物体X』評が素晴らしい!”「映画はこの程度でいい」とジョン・カーペンターは断言する”というテキストなんだがカーペンター論というか、カーペンター映画の本質を「よく言ってくれた!」と拍手したくなる見事な分析で言い切ってくれていてもうこれ読むために買ってもいいんじゃないの感あり。それぞれの「マイベスト・カーペンター」や、相変わらずな中原昌也による破天荒解説も面白くって一気に読めちゃいます。二十代とかで「マスターピースを丁度遡って観てます」みたいな子たちには分厚くて手を出しづらいガイド本よりも小さくて安くて薄くてオススメ。

❸松原タニシ「恐い間取り」(¥1,512/二見書房)
「大島てる」を定期的にパトロールしている一部の根暗な人達(俺含む)にはお馴染みの「事故物件」という言葉だが、最近になってとてもよく聞くようになった。前の住人が死んでいる部屋や家のことなわけだけど、俺の元実家も完全にそうでした(笑)しかも自殺。で、自殺したその部屋が俺の部屋でそこには仏壇もあった。死んだのは遠縁の親戚のおばさんで理由とかはここには書かないけど結構な怨恨で死んだみたいで。
何人も彼女や友達が泊まりに来たけど、感度の強い子とかは一瞬で「あ。ヤバイね、ここ」ってすぐ言っちゃうぐらいのとこでした(笑)
当然そういう子達には教えるけど何にも言われなければ教えなかったから「そこ行ったし、泊まったんだけど!」って今このブログで知る人もいるかもな。ざまみろ!(笑)
話を本に戻すとそんな事故物件にわざわざ住みますと宣言して暮らす芸人である著者に起きた怖い話とその知り合いの人たちから聞いた体験談をメインに普通の怖い話もたっぷり収録されており、これがどれもなかなか面白い。一年中怪談本を読み、文庫も主に竹書房の棚ばかりチェックしている俺からしてもこの本は楽しかった。
ただ、拠点が関西のため、出てくる場所はほとんど知らないのでそこはちょい臨場感にかけたけど。


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