第3回: 『五福星/Winners and Sinners』(1983)
〈おことわり〉基本ネタバレ全開で話が展開します。観てない作品のネタバレをされたくない方は個人の判断で読むのをおやめください。ていうか読んだ後で怒るのだけはくれぐれもやめるシコ!
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蛮男夢(ばんだむ)-スカムライツの宣伝担当。夜の暴力映画狂色欲猫(DISCO CAT) |
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すかむらいつお-80年代のハードコアパンクとVHSマニアのごくつぶし。蛮男夢の一応飼い主。 |
蛮男夢(ばんだむ)、以下バ:しれっとレギュラーみたいな顔して座ってやがるシコ!ムカつくシコ!
すかむら いつお、以下い:いや、もう3回出たらレギュラーでしょ!2回は怪しいけど、3回なら!今日話す映画も3部作だし!
バ:上手いこと言ってやったみたいな顔も腹立つシコ。それに3部作と思い込んでる人も多いけど、実は違うシコ!それは後で話すとしてその前にこれ読むシコ!
い:はいはい。
"『五福星』(ごふくせい、原題:奇諜妙計五福星、英題:Winners and Sinners)は1983年7月7日に公開された香港映画。香港では、公開年の年間ランキング1位の大ヒットとなった。"
バ:さらに今回は概要欄も読む必要があるシコ。
い:めんどくせーな!えーと…
"サモ・ハン・キンポー監督・主演の福星シリーズ第一弾。サモ・ハンを含めた主要な五人組メンバー以外にも、サモ・ハン作品やジャッキー作品でおなじみのキャストが勢ぞろいしており、ジャッキーも準主演級の出演、ユン・ピョウも端役ではあるが出演している。1983年香港電影金像奨最佳動作設計(ベストアクションデザイン)を受賞している。"
バ:さらにさらにシコ!
い:"日本では『コータローまかりとおる!』との2本立てで公開された。日本劇場公開版ではジャッキー・チェン主演として編集された。製作年、香港公開ともに『プロジェクトA』よりも前の作品ではあるが、日本では『プロジェクトA』の方が先に劇場公開され、ジャッキー、サモ・ハン、ユン・ピョウの"ゴールデン・トリオ"の人気がピークのころに公開され、公開直前には3人による武道館コンサートまで開かれている。"
スゲー人気だったんだな!
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当時の子供達が全員行きたかったやつ! |
バ:この武道館コンサートの映像は下記YouTubeで確認できるんだシコ。
それはさておき今の概要に重要なワードがあったんだシコ!どこかわかるかシコ!
い:え?うーんと、『コータローまかりとおる!』と2本立て?
バ:そこはこの概要で一番どうでもいいんだシコ!笑
まぁ、とはいえ千葉真一が企画で入り、JAC絡みで真田広之や志穂美悦子らが出演してるアクションコメディ映画だったから、それなりにカップリングされた意味はあるんだけどシコ。
い:えーと、じゃあこれだ!"日本劇場公開版ではジャッキー・チェン主演として編集された"!!!!
バ:それシコ!!お前の割には勘が鋭いシコ!
言ってしまえばコレはサモハンの映画でジャッキーはあくまで"おいしいゲスト"なのに、『プロジェクトA』の大ヒットでジャッキーフィーバー最高潮だったから、そういう編集にされたってことなんだシコ!!前の『ゾンビ』でもやった日本好き放題はここでも出てくるんだシコ!
い:ポスターからしてジャッキーがドーンじゃん!笑
バ:そうなんだシコ!NOTロッカーズのソロ名義陣内孝則による「SUPER SUPERSTAR」がガンガン流れて、ジャッキーのローラースケートカーチェイスが超山場になってるんだシコ!でも「SUPER〜」は名曲だし、ローラースケートのシーンも凄いんだけどシコ。
い:しかもチェッカーズの「今夜はCまでRock'n' Roll」と「恋のGO GO DANCE!!」が流れるNGシーン集付きでその後、別に公開されたんだな!笑 (本編のみの日本公開は1984年8月4日。その後ジャッキー人気に乗っかって『香港未公開NGカット版付五福星』として1985年2月3日に再公開。2014年発売ブルーレイに完全収録された)しかもその時はユン・ピョウの主演映画『チャンピオン鷹』と2本立てで公開なんだ!スゴイ!
バ:それぐらいその時のジャッキー・チェンは無双とも呼べる人気だったんだシコ!
い:確かにこの時のジャッキーのフィルモグラフィー見るとヤバイね!オリジナルの公開年だけど『プロジェクトA』が1983年で、『スパルタンX』が1984年、1985年に『ファースト・ミッション』と『ポリス・ストーリー/香港国際警察』だもんね!無双だわ、確かに。
バ:ただし、一応言っておくと、この数年前に撮られた『バトルクリーク・ブロー』(1980)でアメリカ進出に失敗、その後起死回生で香港で撮られた謎のサッカー「ドラゴンキッカー」が斬新な『ドラゴン・ロード』(1982)でも振るわず、冬の時代を味わってからの、長らく疎遠だった全寮制の中国戯劇学院時代の兄貴サモ・ハン・キンポーとの友情再び!な、熱い一本ではあるんだシコ。アホなギャグばかりだけどシコ。
い:そうだ!七小福!
バ:で、製作されたのはほぼ同時期なんだけど、今度はジャッキー側がサモ・ハンらを呼んだのが『プロジェクトA』な訳だシコ!綺麗なご返盃だシコ!
い:なるほど!で、さらにその後『スパルタンX』だもんね!ユン・ピョウ含めたゴールデン・トリオでの作品連打ヤバイね!しかもどれもヒットしてると言う。
バ:そんな訳で『五福星』はジャッキー人気にあやかった的売られ方をした作品ではあるんだけど、色んなボンクラギャグが散りばめてあって普通に面白いんだシコ。それが当時の子供にもウケたから、それぐらいが小中学生だった人達にはこの福星シリーズはとっても思い出深いに違いないんだシコ。
い:名作とかの棚には並ばないけど、普通に楽しいし、くだらないし、男子ならみんな好きだよね。友達と行った正月映画でこれぐらいの尺と楽しさが丁度いいわーみたいな笑
バ:そうなんだシコ。ポットを演じたサモ・ハン・キンポーを始め、チンケことリチャード・ンやマジメことフォン・ツイファンなど当時の香港映画のコメディアン大集合な個性強めキャラがズラっと揃ってるんだシコ。刑務所から出てきたみんなで清掃会社を始めるって話なんだけど、刑務所スタートってのが、2作目の『大福星』と同じなんだシコ。
い:基本的な作りは一緒だよね?笑 で、出所した後に住むことになった家に女性が一人いてみんなで取り合うみたいな笑 『五福星』は和田勉似のモジャ(ジョン・シャム)の妹メイヤー(チェリー・チェン)を取り合う市場みたいなとこの無線のシーンとかスゲー好き!笑 盲目家族との激しい演奏な!笑
バ:ロッド・スチュワートの「燃えろ青春(Young Turks)」を熱唱してるんだシコ!あそこはワイも大好きだけど、テレビ放映では演奏シーンはカットなんだシコ。あと透明人間のシーンも名シーンシコ!
い:あーあれ最高!笑 そう考えたらリチャード・ン、鉄板だね!笑 というか今見返してもドリフだよね、ほとんど笑
バ:大勢の男がわちゃわちゃしてる感じもドリフの影響は確実にあるんだシコ。サモハンもインタビューで日本のバラエティはよく見てると言っていたらしいシコ。
い:そうなんだ笑 続編の『大福星』も最高なんだよなぁ。縛り組のシーンとかさ笑
バ:シベール・フー演じるウー刑事(日本語吹替名はリカ)も気づいてるだろうにノッてあげてる感もあって笑えるんだシコ!ベッドがあいつらになってるやつとか最早、今のコンプラではアウトな描写だシコ笑
い:あー!アレね!笑 日本主題歌の時代錯誤が歌う「幸運序曲 大福星のテーマ」も大好き!iPodに入れてるもん笑
バ:カッコイイに決まってるんだシコ!頭脳警察のパンタが作詞、ムーンライダースの鈴木慶一作曲なんだシコ!あと、時代錯誤はどう見ても一世風靡のパロディだけど、若き日のBOOMERがいたことでも有名だシコ。
い:それな!笑
バ:『大福星』は日本が舞台っていうのも特筆すべきとこシコ。最初、都営新宿線のホームから始まるんだシコ!
い:あーそうそう!笑 で、いきなりカーチェイス始まるんだけど、急にど田舎!ってやつな笑
バ:で、急に富士急ハイランドなんだシコ笑
い:あのお化け屋敷の入口は後楽園だよね?
バ:そうなんだシコ。ジャッキーがアラレちゃんの着ぐるみで忍者と闘うっていう時代を感じるシーンも楽しいシコ。
い:そうだそうだ!あそこな!いいよね!でもあんな凝ったお化け屋敷ねーよな笑
バ:ボディビル界の山口百恵こと西脇美智子も現役バリバリの肉体でバトルシーンに登場してるシコ!
い:サモハンに1発KOされちゃうけどね笑
バ:賭場のシーンとか、部屋に囲炉裏とか、まさに時代錯誤感はご愛嬌だけど、日本愛は感じる愛らしい作品シコ。
い:♪ルーララルーララのあの唄はクラスでも流行ったってVHS BOYAが言ってたよ笑
バ:オーバー40らしいエピソードシコ。あと特筆すべきはちびを演じたエリック・ツァンなんだシコ!彼はサミュエル・ホイ主演の『悪漢探偵』や、ジャッキーが事故る前の『サンダーアーム/龍兄虎弟』で監督をしたりしてるシコ。福星シリーズの『十福星』の監督でもあるんだシコ!
い:大活躍じゃん笑 ていうか役者であり製作者で器用な人なんだな。あんなダメ人間役だったけど笑
バ:しかもエリックは16歳でプロのサッカー選手になったという経歴もあるんだシコ。テレビの人気司会者としても香港では有名なんだシコ。
い:ヤベー!凄いね!ていうか俺的にはあの人の吹替は小松政夫に尽きるよ!
バ:わかるシコ!そしてサモハンも水島裕しかいないんだシコ!ジャッキーは石丸博也、マイケルホイは広川太一郎だシコ。むしろ字幕版で見ると違和感感じるぐらいのマッチの仕方なんだシコ。
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広川太一郎。ミスターブーに関しては圧倒的に吹替の方が面白い。 |
い:それは言い過ぎ笑 でもわかる気もするな笑
バ:そして3作目は『七福星』だシコ。1985年に香港で公開。日本では1987年に公開だシコ。この時、ジャッキーは『ポリスストーリー』と『ファーストミッション』も同時に撮影していたから、非常に過密スケジュールだったんだシコ。そして問題のジャッキーが撃たれるというシナリオに書き換えられたんだシコ。
い:しかも自ら志願したらしいね笑 『ファーストミッション』もあの時期なら寝ても覚めてもサモハンがいてうんざりだったのかもな笑
バ:そうかもしれないシコ。恒例となったエロパートを『プロジェクトA2/史上最大の標的』にも出てたロザムンド・クワンに担わせてるんだけど、かなり過激なことやらせてるんだシコ。
い:火事だからって水張った風呂に沈ませて乳首が…ってとこね!盲人になり切ってのトイレのとことかも凄いよな笑
あとは何故かアンディ・ラウが出てる笑
バ:ジャッキーとユン・ピョウと並んで堂々とバトルシーンもこなしてるんだシコ。後半の倉田保昭も印象的なんだシコ。
い:ジャッキーに勝った唯一の日本人じゃないの?笑
バ:ミシェール・キングことミシェール・ヨーも柔道の師範役で出てるシコ。だけど相変わらずエロのターゲットにされるシコ。
い:柔道協会の人に怒られんじゃないってぐらいマジで低俗笑 でもエロとバトルっていう男の子の好きなものが詰まってるからただただ楽しいっていう笑
バ:最後の最後、エレベーターから続々降りてくる当時の香港映画のスター達登場シーンはカメオ出演という枠を超えたアホアホ展開なんだシコ笑
い:「何の騒ぎだ?」みたいな感じでゾロゾロ出てくるやつね笑 あれでエンドロールって意味わかんないにも程がある!笑 でもジャッキーがエセラップ含めて愉快に歌う主題歌「無問題(モーマンタイ)」はいい曲だよ!サントラも買ったし!
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ジャケットが秀逸。 |
バ:今でも『七福星』のスコアは日本のバラエティにたまに使われてるんだシコ。
い:へぇー!そうなんだ!で、問題は3部作じゃないって点!この3作しか知らねーよ?
バ:この後、1986年に撮られた4作目がさっきも話したエリックがメガホンを取った『十福星』なんだシコ。『七福星』にも出てたアンディ・ラウや、『サンダーアーム』でもおなじみのアラン・タムなんかも出てるんだシコ!でもジャッキーとユン・ピョウが出てないから、日本での扱いは散々だったんだシコ。
い:じゃあ知らんはずだわ笑
バ:その後もサモハンは降板したし、ジャッキーも出ないけど、『福星闖江湖』(日本未公開、1989年)、『五福星撞鬼』(日本未公開、1992年)、『運財五福星』(日本未公開、1996年)と作られたんだシコ。今のところ、全7作品ある長寿シリーズなんだシコ。
い:まぁ、フォーマットとしてはやりやすそうだもんね笑
バ:総括するとジャッキー人気最高潮の時代に作られた「少年心をざわつかせる香港発アホアホコメディ」なんだシコ!今見ても充分面白いけど、想像以上にしょうもないし、くだらないから特に初見の人は各自気をつけて鑑賞するんだシコ!
い:俺は今でも時々見返すぐらい好きだから、損したとかは全く思わないな。でもジャッキーアクション期待して見に行った当時の人達が「少ない!」って怒ったっていうのもわからないでもないけど笑
バ:ジャッキー主演って売り方した東映の責任だシコ。
い:よし、これから吹替でもう一回見ようっと!
バ:じゃあ、次も男心を震わせる作品ばっかり作ってるタランティーノでもいってみるんだシコ!
い:いいね!『デス・プルーフ』とか?
バ:じゃあ、そうしようシコ!次回は『デス・プルーフ in グラインドハウス』なんだシコ!
い:レギュラーだから俺も出るよ!笑
(第4回: 『デス・プルーフ in グラインドハウス/Death Proof』(2007)につづく)